轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
うえすぎけんしん
上杉謙信
吉川 英治
「週刊朝日」1942(昭和17)年1月4日号~5月24日号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 129,102 字 · 256 页
すこしも激越でなく。また、抗議的でなく。
貴下の良心に訴える。
と、いう程度にである。
こういう事理や情をつくした辞句に、顔あからめる如き信玄ではない。すでに両国が修好を締結するまえ数年に亙って、信越国境では三度も彼と激戦を交えているので、越後勢の精鋭、謙信の端倪すべからざるものであることは充分に心得ているが、それにもかかわらず信玄のどこやらに、彼にたいする軽視が除ききれなかった。何といっても謙信は彼より九ツ年下なのと、その領土、財力、軍備、あらゆる角度から見ても、
――謙信何する者ぞ。
と、弱小視する気もちを制しきれなかった。
で、使者が来たと聞くと、その書簡を見るまでもなく、
(和をまとめに来たな)
と、直感した。
(戦う気があるなら、使者などよこす要はない。こちらも虚をついたのだ。虚を衝いて出てくるのが必然――)
その考えの下に、謙信の書簡をひらくと、
(果たして!)
と、思うものがあった。
信玄としては、万事、予想どおりであった。ともあれ、口上を聞き、返事も与えてやらねばならぬが――その特使の男がまた少々変っていると家臣から聞かされたので、
(どんな人物か)