轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

うえすぎけんしん

上杉謙信

吉川 英治

「週刊朝日」1942(昭和17)年1月4日号~5月24日号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 129,102 字 · 256 页

青空文庫

献言百諫

謙信の鳳眼は、ぽっと紅をふくんでいた。一同の容子に、彼も、やおら杯を下において、

「実綱か。――何が述べたい?」

と、敢て耳を傾けた。

献言百諫

直江大和守実綱は、謙信の父祖以来三代に歴任して来た宿将中の宿将である。

彼の才幹と忠節は、諸人のみな認めていたところである。謙信の信愛もただならないものがあった。にもかかわらず、このたびの出陣以後には、まだ曾て一度も、この元老の献言にも耳を仮したためしがない。また、特に諮ろうともしないのであった。

大和守に対してすらそうであるから、他の諸将にはなおさらのこと何の評議も求めていない。しかも一日一日、ここの危地は陣地として最悪な条件を加えている。一日停まれば一日の危機が深まるといってもいい。一万三千の生命が、いま飢えるか、ここに墓石を積むかにまで、現実は迫っていた。

「――抑ここの御進退を、如何あそばすお心にございましょうか。日頃の御豪気、御雄胆など臣等のいささかもお疑い申しあげる仕儀にはござりませぬが、既に、何よりは御携帯の兵糧が、いまは全く尽きておりまする今日……」

「その事か」

と、謙信は至極手軽に、

「その儀に就いてなれば、疾くここに陣した初めに、呉々申し渡してある。