轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

うえすぎけんしん

上杉謙信

吉川 英治

「週刊朝日」1942(昭和17)年1月4日号~5月24日号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 129,102 字 · 256 页

青空文庫

雷発

「ねがいとは、何を」

「明確なる御謝罪の証を」

「ははは。むだであろう」

「むだかも知れませぬが」

「酒が出た。のむか」

「こんどは戴きます」

下野は、大盃を取った。彼の痛飲はまた敵国の君臣に眼をみはらせた。

けれど、それなどは、些細な愕きに過ぎない。その夜、躑躅ヶ崎へはいった飛報には全城みな耳を疑うような震駭をうけた。信越国境の方面からつなぎ烽火で一刻の間に伝わって来たことである。つなぎ烽火というのは、一里距き二里距きに備えてあるのろし筒が、次々と轟煙を移して甲府の本城へと、

――敵軍襲来!

の急を忽ちのうちに警報して来る組織のものであった。

斎藤下野、そのほか使者の一行は、それとともに、馬をとばして、府外遠くへ、遮二無二、鞭を打って、逃げ出していた。

雷発

信濃入り――

と聞くだに、血は鳴り、肉はうずき、武者ぶるいを禁じ得ないのが、越後上杉衆の常であった。

相手にとって不足のない敵国。うらみかさなる敵国。かぶと、具足の緒を締めながらも、

「このたびこそ」

と、みな誓い、

「徳栄軒信玄の首を見ずには」

と、みな思う。

それは部将以下の平侍から足軽にいたるまでの一貫している精神だった。