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けんきょうじゅなん
剣侠受難
国枝 史郎
「東京日日新聞」1926(大正15)年5月28日~11月14日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 195,479 字 · 394 页
武器蔵
と、すぐ木だまがホッ、ホッ、と返り、それを縫って、キョッ、キョッ、キョッと、ほととぎすの声が聞こえてきた。
「いいなア」と広太郎はうっとりとした。「お京様そっくりのこの娘と、こんなすがすがしい山間で、一緒に暮らしたらどうだろう」
その時君尾がいったものである。
「あの、袴広太郎様、お願いがあるのでございますの。どうぞどうぞ当分の間、むさくるしくはございますが、妾の家にお泊まりくだされ、杉窪の里の人たちの、味方となってはくださいますまいか」
その声には熱があり、訴えるようなところがあった。
武器蔵
袴広太郎と君尾とが、山上で話をしている頃、銅兵衛は武器蔵で部下を指揮し、武器の手入れにふけっていた。
「槍が五十筋、弓が百張、ええと太刀が五百振りか。……それから鉄砲が六十挺に、地雷弾が八十個かな。……さあさあ矢尻をとぐがいい、弦を張ったり弦を張ったり。……貝と鉦とは大丈夫かな。……ほぐれぬように柄糸を巻き、刀のさびを落として置け。……二十挺の種ヶ島の筒口に、湿りをつけてはならないぞ。……鞍からあぶみからくつわまで、手落ちがあったら承知しねえ。……籠手すね当てのかずを調べ、野郎どもに渡して置け。