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けんきょうじゅなん
剣侠受難
国枝 史郎
「東京日日新聞」1926(大正15)年5月28日~11月14日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 195,479 字 · 394 页
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……たしかこっちへ来た筈だが、どっちの方へ行ったかしら? ……うむそうだ、この松明、きゃつらが持っていたのだろう。……では松明の捨ててある方へ、歩いて行ったに相違ない。……逢いたいものだ、捉えたいものだ」
ユラユラと城之介歩き出した。草が分けられてサラサラと鳴る。間もなく姿が見えなくなった。だがその音さえ元気なく、ジャラーンと鉄杖の音がした。
イスラエルのお町と早引の忠三、灌木の陰から現われたが、顔を見合わせたものである。
「プッ」と噴き出したのは早引の忠三。
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「プッ」と吹き出した早引の忠三、城之介の行った方へ眼をやったが、「ありゃア城之介じゃアありませんね。城之介の魂のぬけがらで」例によって毒舌を振るい出した。「きゃつの魂ときた日には、人一倍太うございましたねえ。そいつが綺麗にぬけたんで、あんなに痩せたんでございますよ。こうなると魂の太いのも、考えものでございますねえ。みっともないざまったらありゃアしない」
「ほんとにねえ」とイスラエルのお町、これはどうやら同情したらしい。「あんなにもやつれてしまっては、憎むにも嫌うにも不足だねえ。なんだかイッソ憐れっぽくなったよ」