轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
けんきょうじゅなん
剣侠受難
国枝 史郎
「東京日日新聞」1926(大正15)年5月28日~11月14日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 195,479 字 · 394 页
孤独の山姫
「何かあるだろう。話してくれ」
「お暇いたしとう存じます」
「まだよかろう。もっと話して行け」
「へい。有難う存じますが、もう夜ふけでございますし、店の方も心配で。……不用心の世間でございますから」
「全く不用心の浮世だな、戸締まりを破って押し込む奴がある」
「いえ、自然と開きましたので」
「光殿、光殿」と老人はいった。
「今後雨戸は閉じない方がよろしい。その方が用心がよさそうでござる。……では亭主、また来るがいい、ただし今度は表門から来いよ」
「へい」というと早引の忠三、部屋をすべって廻廊へ出た。それから庭へ飛び出した。と、女の声がした。
「ノロマのノロマの三吉や!」築山の方から聞こえて来る。
孤独の山姫
「ノロマのノロマの三吉や」築山の方から聞こえて来る。「おや」というと早引の忠三、やみに立ってそっちを見た。明月に照らされた大築山、頂きに女が立っている。その前にいる一匹のけもの、頬かむりをした猿である。後足で立ち、手を差しあげ、月をとらえようとするように、ピョンピョンピョンピョンはねている。
と、美しい女の声。「ノロマのノロマの三吉や。さあ妾をとらまえてごらん」スーッと築山を駈けおりた。