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けんきょうじゅなん

剣侠受難

国枝 史郎

「東京日日新聞」1926(大正15)年5月28日~11月14日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 195,479 字 · 394 页

青空文庫

裸体円陣

誰も彼もみんな恍惚としている。

四本の柱で行なわれている運動! さすがの袴広太郎も、放心せざるを得なかった。

「ああこいつはまぼろしだ!」

「いや!」と城之介の声がした。「現実でござるよ、袴氏!」

裸体円陣

「現実でござるよ、袴氏」こういった城之介の声のうちには、真面目の響きがこもっていた。

「なんと見られるな、あの柱を?」

「けがらわしいものだ! 冒涜だ!」

「いや、宗教の根本でござる」島原城之介いいつづけた。「ギリシヤ人種における親愛の神、アリアン人種におけるファリスの神、エジプト人種におけるオシリスの神、チベット人種における天地仏、あれをもって神体と致しております」

「日本にはない! この日本には!」袴広太郎はわめくようにいった。

「北多摩郡の多穀神社、笠島の道祖神、屋張の国の田県神社、印旛郡の熊野神社、奥州塩屋の金精神、信濃の△△、日向の△△、四国の五剣山、美濃の山神、いくらもあります! いくらもあります!」

「が、何者だ! あの女達は!」

「良家の処女さ!」と城之介の声、ここでにわかに嘲笑的になった。「よくよくご覧、袴氏。みんなあの通り喜んでおります」

「呪縛されているのだ、貴様のために!」