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けんきょうじゅなん
剣侠受難
国枝 史郎
「東京日日新聞」1926(大正15)年5月28日~11月14日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 195,479 字 · 394 页
罵る島原
アッという間に島原城之介、二間あまりうしろへ飛んだ。左手に抱えたは気絶の広太郎、右手に高く振りかぶったは、例の得物鉄杖である。
「ふふん」とばかり鼻を鳴らした。「おお長崎か、左源太か。いつの間に後をつけて来た! ご苦労千万、毎々ながら! が駄目だ、帰れ帰れ! 知られてたまるか、おれの住居! これ!」というと一本歯、高足駄でグイと進んだが、「どだい考えが間違っていらあ、よく天草へいってくれ、空巣狙いはやめろってな! 住居を突き止めてどうする気だ? うん、おおかたこうだろう。取り貯めてあるお賽銭、ふんだくろうとするのだろう? いけねえいけねえ、そいつはいけねえ。というのはそんなものはないからさ。ああないよ、お賽銭なんか! 第一……」というとまた進んだ。「そいつは天草だって知っている筈だ。一緒に原の城にいたんだからなあ。もっとも目的は別々だった、天草の目的は金儲け、おれの目的は吉利支丹修法、そうしておれはともかくも、イスラエル教をたてたってものさ。でおれには物欲はない! 人助け、人助け、人助け! な、これだけだ、あるものといえば! すなわち神聖なる救世主さ! 馬鹿にしちゃアいけねえ、大行者様だア! ……ところで、イスラエル教は密法だ! 容易に道場を見せることは出来ねえ! 見られるとこっちも都合が悪いが、見た方