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けんきょうじゅなん
剣侠受難
国枝 史郎
「東京日日新聞」1926(大正15)年5月28日~11月14日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 195,479 字 · 394 页
一つの人形
天草らしいやり方だ」銅兵衛不安そうにつぶやいた。
と、果然驚くべき、一つの知らせがやって来た。
一つの人形
なんだろう驚くべき知らせとは?
「天草一味と連絡のない、一百人の同勢が、二挺の駕籠を引っ包み、草加宿の方面から、上がって来る」というのである。
「不思議だなあ、何者だろう?」
「巻軸取りの連中は、天草以外にも沢山あるが、傀儡仕込みの火術をもって、天草一味を混乱させ、ドサクサまぎれに奪い取ったことを、知っているものはない筈だ。ではやはりその同勢は、天草一味の別動隊ではないかな。どっちにしても困ったことだ。味方は一切で三百人、女子供と老人を抜かせば、戦闘員は百人しかない。地の利を占めているとはいえ、二百五十人を相手にしては、ちょっとどうも防ぎかねる」銅兵衛はますます不安そうにした。
「広太郎殿どうしたものでござろう?」相談をかけたものである。
「草加の方から来るといえば、里の背面を襲うものとみえます。うっちゃって置くことは出来ますまい。といって、人数を二手にわけては、両方とも守備が薄くなります。で背面へは地雷を仕掛け、点火の人数を二、三人だけ、配置することに致しましょう」