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けんきょうじゅなん

剣侠受難

国枝 史郎

「東京日日新聞」1926(大正15)年5月28日~11月14日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 195,479 字 · 394 页

青空文庫

藪地の小路

でくの棒達を走らせたところで、役に立たねえのは受け合いだ。いかな城之介が行者でも、まさか天へはのぼって行けめえ。それにさ、どんなに高く踏んでも、天国へ行けるような玉ではない。では地獄へはということになるが、むぐらでないんだから土はほれめえ。そこでいきおい正面の、藪地なるものが問題になるが、渋沢の藪地と来た日には、あの八幡の藪知らずより、もっとこみ入った藪地なんだからなあ。手がかりもないのにうかうかと、飛び込んでゆくのは考えものだ。……と、こんなことをいっているうちに、時がドンドン経ってしまう。あの早足の城之介め、サッサと遠くへ行ってしまうだろう。だんだん間がはなれてしまう」忠三不意に飛びあがった。「あねご、しめた。土が軟かい!」それがどうしたっていうのだろう?

藪地の小路

「あねご、しめた。土がやわらかい!」叫んで飛びあがった早引の忠三、今度はにわかに前のめりに地面へ腹ばったものである。

月光をなま白く肩から浴び、坐り込んでいるイスラエルのお町、こう忠三に叫ばれても、身動き一つしなかった。

しかしその次の瞬間に、こう忠三にわめかれた時、はじめてお町立ちあがった。