轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

けんきょうじゅなん

剣侠受難

国枝 史郎

「東京日日新聞」1926(大正15)年5月28日~11月14日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 195,479 字 · 394 页

青空文庫

危険な左門町のその中でも、とりわけ危険な一郭で、ここに住んでいるということだけで、悪党どもは押しがきいた。「ナーニあっしは善人で、綽名は仏、名は小平。虫けら一匹殺しゃあしません。もっとも住居は巴小路で」などというとたいがいの者は、ふるえ上がって金を出す。

その物騒な巴小路の真ん中どこに立っているのが、巴御殿という化け物屋敷であった。御殿とはいっても巴小路での御殿。黒板塀こそかかっているが、決してたいした伽藍ではない。

だがいったいどういうところから、化け物屋敷というのだろう? いずれ原因を探ったら、先住のなにがしが妾を殺し、爾来血の雫がしたたるとか、金持ちの婆さんが縊り殺され、その恨みが残っていて、毎晩毎晩しゃがれ声で、「金くだせえ」とおっしゃるとか、そんなところへ落ちつくのだろう。さらに一層研究したら、超自然的の原因などはなく、陽あたりが悪いとか、井戸水が悪いとか、まわりがきたないとか、家賃が高いとか、至極平凡な実際問題へ、帰納されるに相違ない。

事実そこはここ数年来、借りて住む者がないのであった。

借り手がないから家がクサる。家がクサるから陰気になる。