轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
けんきょうじゅなん
剣侠受難
国枝 史郎
「東京日日新聞」1926(大正15)年5月28日~11月14日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 195,479 字 · 394 页
南蛮屋
「そうではござらぬ」と奥の部屋から、天草時行の声がした。
「呪縛でござるよ、城之介のな!」
南蛮屋
今日の浅草千束町、慶安時代には何といったか? 洗足町といったらしい。今日も千束町は魔窟だが、その時代も魔窟であった。だがひどく色っぽい魔窟で、百鬼横行するけれど、おおかた美しい白首なのであった。そういうところも今日に似ている。小料理屋、私娼窟というようなものが、大いにはびこっていたのである。洗足町の一ところに、碁盤目小路という一郭があった。文字通り小路が碁盤目のように織られ、迷路をなしているからである。
碁盤目小路からやや離れ、今日でいえば象潟町、その辺に風変わりの小料理屋があった。その屋敷は南蛮屋、その料理は南蛮流、すなわちスペインやオランダ流の珍な料理を食べさせるのであった。だがもちろん上流ではなく、今日でいえば縄のれん、いや二流どこのレストランで、大衆的ということもできる。店飾りも異国的で、食卓や腰掛けも外国風である。一年ほど前からあるのであるが、最近、素晴しく美しい女が、チョイチョイ店へ出るというので、にわかにワッと人気が立ち、白首、地まわり、ごろん棒、おつにひねったイカ物食い、そういうこれまでの馴染以外、相当立派な侍や、大店の若旦那というような者まで、昨今は出入りをするようになった。