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けんきょうじゅなん

剣侠受難

国枝 史郎

「東京日日新聞」1926(大正15)年5月28日~11月14日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 195,479 字 · 394 页

青空文庫

意外にも広太郎

「ははあ、貴殿よりできますかな」

意外にも広太郎

三好坂という武士、またニヤニヤ、

「さようさ、全く、打ち見たところ、貴殿はご縹緻はよろしいが、ちとそのどうも、ご柔弱のようだな」

縹緻がよいといわれたので、またもや金弥オホンと咳。衣紋を直したものである。

「失礼ながら貴殿には、寺侍でござろうの?」そろそろ無礼なことをいう。

「とんでもないこと、旗本でござる」

「ははあ、徳川ご直参か」

「しかも安祥旗本で、家柄にかけては、負けを取らぬ」

「それは、えらいの」とだんだん無礼。「で、ご知行は何千石で?」

「む」と金弥つまったが、「そういう貴殿は、お大名かな?」

「拙者、天下の浪人でござる」むしろ凛とした声である。

「どうしたどうした三好坂」こういいながら四人の武士、ドカドカかたまってやって来た。

「何さ、ここにいるご仁がな、あんまり縹緻がお美しい。寺侍かと聞いたところ、安祥旗本とおっしゃるので。どうかな、旗本に見えるかな?」

「どれどれ一見。これは美男! ははあこいつ、河原者だな」

「どれどれ一見。これはヨカ稚児。陰間でござろう、それに相違ない」

「どれ拙者にも見せてくれ。あッ、なるほど。