轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
けんきょうじゅなん
剣侠受難
国枝 史郎
「東京日日新聞」1926(大正15)年5月28日~11月14日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 195,479 字 · 394 页
巻軸のありか
「ナニ、それではイスラエルのお町は、頼宣公のご落胤か!」正雪仰天したらしい。
「そのご落胤の町姫様がおすがりしたのでございます」
巻軸のありか
牧野兵庫の駕籠が帰り、夜が白々と明け初めた頃、由井正雪の門前で、ジャランという鉄杖の音がした。現われたのは島原城之介、スタスタ町の方へ歩いてゆく。
「由井正雪といったところで、ろくな知恵は持っていねえ。眼の前にある巻軸に、気がつかねえとはあきれたものさ。身体や頭をさがしたところで、なんでそんなものがあるものか、持ち物にだよ、持ち物にだよ」こんなことをつぶやいている。
明けゆく江戸は美しい。高台のあたりで烏がなき、雀が八方に飛びちがう。乳色をした夏の靄、裾の方からまくれてゆく。と、城之介深呼吸をした。「やっぱりな、土牢よりはいい。土牢は空気が不潔でいけねえ。それに随分責めやがった。この大行者の城之介様をな、三下並みに扱かやアがった。よこせよこせ巻軸を! ふふん、取られてたまるものか」
山伏町から箪笥町、築土八幡から東北へそれた。
「眠いねむい、恐ろしく眠い。入りかわり立ちかわりやって来て、眠らせねえようにしやがったんだからなア。