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しん・すいこでん

新・水滸伝

吉川 英治

「日本」講談社、1958(昭和33)年1月号~1961(昭和36)年12月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 684,899 字 · 1374 页

青空文庫

「げに、なんとも、恐れ入り奉りまする。よそながら、ごあいさつをかねて、おわびなと……」

「ああこれこれ、近寄るまい。うるさく思し召すかもしれん。次の間より、遥拝いたせ。そこでよい、そこからで」

ところへ、あわただしげに、一群の役人が、華陰府の城中からはせさんじて来た。――奉行の賀は、まだあとから少し遅れてまいりますと、三拝九拝、階の下で、詫び入るばかり。

これにたいしても、にせものの病大臣は、轎のままで、ただ轎の垂巾の内から、弱々しげに、手をふって、こたえて見せたのみである。役人一同は「……へへッ」と、それにすら階下で額をすりつけたままでいる。

けれど、奉行の賀が来ると、これに対してはそうもゆかない。宋江が接待役に出て、正殿の廊から内へ案内して通す。そして、まずそれからである。恩賜の献納燈籠の内覧をゆるす――と、宋江と呉用とが、あたまから大きく言って、

「中書の者。御文書を持て」

と、次の間へ大きく呼ぶ。

はーっと、遠くで答えがある。絢爛な公文の箱をささげて、静々と裳を引いて出てきたのは、中書省の一官に化けていた、花栄であった。

宋江が、次を呼んだ。