轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
しん・すいこでん
新・水滸伝
吉川 英治
「日本」講談社、1958(昭和33)年1月号~1961(昭和36)年12月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 684,899 字 · 1374 页
と、すぐ二、三人は飛んでいった。
それを合図に、眼くばせ交わしたごろつき連は、智深をとり囲んで、なんのかんのと、次第に彼を大きな肥溜のある畦のはずれへ誘いだした。――智深は、これが彼らの計略だとも、また、自分の立ったすぐ後ろが糞の池とも気づかなかった。また、ちょっと見たのでは溜の表皮一面、蠅の上に蠅がたかって、まるで黒大豆でも厚く敷いたような密度だから糞色も見えず肥の匂いもしないのである。で智深はただ、彼らの愛相や馬鹿ばなしに退屈を忘れ、他愛もなく一しょに興じあっていた。
すると、与太もンの一人が、すッ頓狂な声を発して、
「あッ、和尚さんのくろぶしに、大きな虻が」
と、いきなり彼の脚元へ身を這わせ、虻を打つと見せて、片脚を拯いかけた。拯われたら後ろの溜へもんどりは知れたこと。智深は無意識に体をねじッた。そして、そいつをぽんと蹴放し、また、とたんに、も一つの脚へ搦んできたチンピラの横びんたへ向っては、
「ちょめ!」
と、童の頬でも撲るような平手の一擲を食らわせた。なんでたまろう、二つの体は仲よく躍ッて溜りの中へ飛んでいった。刹那。うわあん……鐘の鳴るような唸りが起って、満天満地に蠅が舞い立ち、ために、一天の陽もなお晦いほどだった。