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しん・すいこでん
新・水滸伝
吉川 英治
「日本」講談社、1958(昭和33)年1月号~1961(昭和36)年12月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 684,899 字 · 1374 页
小屋の家主は、かんたんに入れ代った。
天王堂とちがって、板屋葺の古い建物。寒いことおびただしい。なるほど、大きな炉やら炭俵の山があるわけだとうなずかれる。
馴れぬせいか、最初の一夜は、寒さでガクガクと熟睡もできなかった。
明けてみると、外は大雪。しかも終日降りやむ気色もない。
林冲は退屈をおぼえた。
すると夕方。差撥の部下らしい巡邏が、小屋の隙間から内を覗いていった。その跫音も、吹雪の吠えにすぐ掻き消え、小屋の灯はまたすぐもとの寂寞に返ってゆく。
「ああこんなとき、酒の買い置きでもあれば少しは愉しめるんだが」
味気ない炉に、しきりと、李小二の店が恋しくなる。だが街は遠すぎるし……と、ふと壁を見ると、風流な恰好をした酒瓢箪がかかっている。
「そうだ、西の藪道を二、三里行けば酒屋もあるとかいっていたな。どれ、一と走り行ってくるか」
その瓢箪を、朱房のついた短槍の先にくくりつけ、羅紗張りの笠に、蓑を着込み、がらと吹雪の戸をあけて外へ出た。
――が、気にかかったらしく、また内へ戻って炉の火へ厚く灰をかぶせ、灯を消し、洞然たる屋根裏まで見通して、
「まず、こうしておけば、間違いなかろう?」