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にっき

日記

宮本 百合子

27 一九四四年(昭和十九年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 62,807 字 · 126 页

青空文庫

十月十四日

赤い低い台もうつして、一番古い杉の本棚一つ壁の前におき、久々で十六年十二月八日の夜以来テーブルについて、巣鴨へ手紙かきはじめる。国二人は下で、区役所の古物やに、三流品を売っている、もう夜の十二時だが、まだやっている。

咲が、もうあさって帰れる、もういつ帰れる、と帰る日をたのしみにして家中大濤をうたせ、はたを働かせて働いているのは妙に寂しい。咲帰るのをうれしがっている、その気持は何も子供のところへ帰るうれしさばかりではないのだから。こんなに働かされると、ワタシモ、ドコカヘ、カエッテシマイタイ。

〔欄外に〕きょうも晴、やや暖。

十月十四日(土曜)

第八回公判、各被告の予審終結決定書並に公判記録についての検討の第二部。二、証拠品について。三、菊地甚一の鑑定書についての考察。秋笹、袴田、西沢について。秋笹が心的動揺期に当っていたために、矛盾したり不明瞭な部分をもっているが、党の方針について、又査問の過程については比較的正しく認識していること。但し、党史としての見地から、歴史的観察は補足されなくてはならぬが。袴田の陳述も或場合は極端めいてもいるが大体は事実を明かにしようと努力されている。