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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
05 一九三八年(昭和十三年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 229,387 字 · 453 页
貴方に20、私にも20、多賀ちゃんにもその位、富雄さん10、克子さん10、という予算で、何か下さるそうです。あなたにはそのほかお父さんの立派な羽二重の紋付を下すってあります、こちらにとっておいて頂きますが。あなたのは秋にセルを買うことにしてあります。
私はちゃんとした夏帯がないから買って下さるそうです。外のときでないから私もよろこんで頂きましょう。
お母さんは欠かさず毎日御墓参になります、そして烏がちゃんとまっちょると云ってお土産をもっていらっしゃる。ちょっとしたお菓子や何か。こちらでは烏がお供えを啄むと難なく極楽へ行けたという証拠としているのだそうですね、しきりに又烏がいたと云っていらっしゃる。
達ちゃんには、近日慰問袋を送ります。広島へおかたみ分けを買いに出たときに。
私はお母さんと条約をむすんでひる間は多く二階にいて読むか書くかすることにしました。夕方は下へ来て私の仕事の風呂タキをやります。それから夜は皆と喋る。そういう習慣にします。そしてゆっくり居ります。今はスノウをよんでいる。やりかけの仕事をおいて来たから。こっちでこれをよみ終るつもりです。