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ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

05 一九三八年(昭和十三年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 229,387 字 · 453 页

青空文庫

近似性や類は友を呼ぶ風なものであったとはどうしても思われない。迂かつであったということには私の敬して近づけられていない或点からもある。(よいことではないが)

月曜日にお会いして話が出たとき、私はいろいろを尤もと思い、念を押して、仰云ることはすぐやることにしているが、この次までには結果はもって来られないからと云ったとき貴方はゆとりをもって、「ああそれはそうだよ、考え甲斐のあることだからよく考えてやるといい」と云って下すった。

二日の後に、そのつづきの気持で行って、あなたの方の気持のテンポと呼吸が揃わなかった上、何か私をもひきくるめて感じていやな心持らしいようでもあり、私としては云いつくせないことがどっさりのこった感じだった次第です。

あちらの家へ行くことは月に二度ぐらいです、大体。狭い言葉のつかいかたでごくそばの日常的接触としての環境というような風に云われて、ぴったりしないということもおわかりでしょう?

私はあなたに、私と家族との間にある心持の実際のありようと、私が客観的にルーズとなった内部の事情とをわかって頂きたいと思います。隆ちゃんやお母さんの御生活に、暖い近さを感じている反面には、そういう質的な不一致が一方に感じられているからでもあるのです。