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ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

05 一九三八年(昭和十三年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 229,387 字 · 453 页

青空文庫

丁度リアリズムの問題を、不具にしようとして人々が、バルザックについて書かれた手紙を、最低に読み直したように。

――○――

昨今の流行語の一つにこういうのがあります。十九世紀は分析、綜合の世紀であった。しかして今世紀は(ナチの如く)行動の世紀である。須く世紀の子たれ。松・平・の一属。

こういう輩の、嘗ての勉強が、こういう箇処(自然科学が十八世紀は蒐集の学、十九世紀がその整理の学としての分析綜合の学として発展した云々)というようなところをアクロバットの跳ね台にしているのですね。成程。ローゼンベルグの「二十世紀の神話」が谷川の「日本の神話」の種の如きか。

おや、いつしかもう九時です。そろそろ腰を上げなければ。元ならこんな面白さを中途で切るなんて。巻を離し得ず、夜ふかしをすれば、さすがの私も、今では頂く言葉はもう見当がつきますからね。ではサヨーナラ。

二十七日。

きわめてつながり工合のよい、必然の興味で、家族のことをよみはじめました。これらの四冊の本は一組となっているようなもので、切りはなせないが、普通どの順序で読むのでしょう。空想を第一なのは、明かだが。