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ひきょうのにちりんき

秘境の日輪旗

蘭 郁二郎

「秘境の日輪旗」少年文庫、新正堂、1942(昭和17)年9月25日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 84,829 字 · 169 页

青空文庫

「もう、かなり前からだ」

丸木舟は、遂に砂利のような浅瀬にどしんと打っつかると、そのまま動かなくなった。

「あっ! あんなところから明りがさしていますよ、兄さん」

「うむ、あすこも洞窟になっているらしいな、とにかく明りのさす方へ出てみよう!」

そこは狭い洞窟で、英夫や祥子が腰をかがめて入れるくらいだった。

「兄さんには、すこし無理ですね、僕が一応中へ入ってしらべて来ますから、待っていて下さい」

英夫は明りを目指して進んで行った。腰をかがめて歩けると思ったのは、ほんのすこしの間だけで、すぐ、あたりが狭くなり、両肘でようやくはって行けるくらいなところで行きづまっていた――。

だが、かすかに外からの光のさして来る小さな穴に目を当てて見ると、

「あっ!」

と、叫んで、急いで引っかえした。

「どうした、出られないのか!」

謙一が心配そうにきいた。

「出られないどころじゃありません、大へんなところです、秘境です、兄さんのいった秘境ですよ、たしかに!」

「よし、舟の中に櫂がのこっているはずだからあれで穴をひろげて出よう!」

×

紺碧の空に、金銀の楼閣や、ガラスのように透明なビルディングが燦然と照り映え、モールを飾ったような緑の樹木や庭園の上には、植物園の花壇のように、とりどりの色の花が咲きみだれていて、どこからともなく、