轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

さぶ

さぶ

山本 周五郎

「週刊朝日」 1963(昭和38)年1月4日号~7月5日号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 210,521 字 · 415 页

青空文庫

九の二

おすえは袂から幾通かの手紙を出し、包みの上へのせて栄二に渡した。

「さぶちゃんの手紙よ」とおすえは顔をそむけて云った、「向う河岸まで来たけれど、いつも持って帰っちゃったの、それで四通も溜っちゃったけれど、堪忍してちょうだい」

そしておすえは、栄二から逃げるように去っていった。

九の二

さぶの手紙は四通とも日付がなく、字も相変らずへたであった。芳古堂では小僧のときから手習いをさせ、いちにんまえになってからも、暇さえあれば習字をするのが店の規則のようになっていた。したがって相当ぶきような者でも、はたちぐらいになればへたはへたなりにかなり見られる字が書けるものだが、さぶだけはいつまでも手があがらず、いまだに子供のような字しか書けなかった。自分でも承知しているのであろう、手紙のはじめには四通とも、字のへたなことが詫びてあった。

「ばかだな」と栄二は舌打ちをした、「――字のへたないい訳より、日付を書くのがあたりめえじゃねえか、どれが先だかあとだか見当もつきゃあしねえ」

文面は似たりよったりで、栄二のことを心配し、自分の近況が伝えてあった。葛西のくらしは平穏で、病気のほうも順調に恢復していること、兄や弟たちと畑にも出るし、田の草取りもやった。