轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
さぶ
さぶ
山本 周五郎
「週刊朝日」 1963(昭和38)年1月4日号~7月5日号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 210,521 字 · 415 页
どういうかげんか、砂がしだいにふくれてきて、ますます顔が埋まりそうになる。栄二はできるだけ躯の他の部分を動かさないようにして、そろそろと顔を横へねじった。
――潮だ、潮があげてくる。
栄二はそう気づいて息をのんだ。仕事にかかってから半刻以上は経つだろう、するとまもなく潮は満ちて来る。潮が岸まで来れば、そしてそのときまだ掘り出されていなければ、そう思うと栄二は悲鳴をあげたくなった。
「頼むから静かにやってくれ」という与平の声が聞えた、「砂が崩れるといけない、両方から砂を掘ったらどうだろう」
「だめだ」と小頭がどなり返した、「砂を掘れば石がもっと崩れちまう、石をどけるのが先だ、誰か役所へ知らしてくれ」
もういったよ、と答える者があった。
小頭の伝七は年寄りだ。としは五十五、六だが痩せて皺たるんで、見たところは七十の老人のようである。とうてい力を貸すことはできないし、あとの五人のうち与平も非力で役には立つまい。こういうときにこそこぶの清七がいてくれたら、と栄二は思った。――眼をあげると、折り重なった石と石のあいだから、どんよりと薄曇った空の一部が、襖紙の切れはしのように細長く見え、強い風がその隙間でかすかに唸っていた。