轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

さぶ

さぶ

山本 周五郎

「週刊朝日」 1963(昭和38)年1月4日号~7月5日号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 210,521 字 · 415 页

青空文庫

十五の三

と云って栄二は眼を細めた、「見たようすではうまくいってるようだったな、堅気のかみさんていうふうだったよ」

もしもそれが本当で、そのままおさまるとしたら、瓢箪から駒が出たようなものだ、と云って、おのぶはおかめがこの店をよしたときの事情や、相手の男のことなどを話した。栄二は聞いてはいなかった。久しく飲んだことがないため、二本めの酒でもう酔いはじめたらしい。鉛でも詰っていたような胸のしこりが、風でも吹きぬけたようにさっぱりとほぐれ、自分でもすっかり忘れていた気持の張りといったようなものが、胸に溢れてくるのを感じた。

「断わっておくがね」と彼は云った、「今日は銭を持っていないんだ」

「もううかがいました」

「一文も持ってねえんだぜ」

「どうしてそんなことにこだわるの」おのぶは酌をしてから、いたずらそうに栄二を見た、「――まさか夫婦喧嘩をしてとびだして来たんじゃあないでしょうね」

「首でも縊ろうかってときに、夫婦喧嘩ができるかい」

「なんのこと、それは」

「仕事がねえのさ」すらすらと云えたことに、栄二は自分でびっくりした、「店をひらいてからこっち、仕事らしい仕事のあったためしがねえ、世間が不景気だってことも知っているが、これじゃあおれたちはどうしようもねえ、本当に首でも縊りてえくらいだよ」