轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
うえすぎけんしん
上杉謙信
吉川 英治
「週刊朝日」1942(昭和17)年1月4日号~5月24日号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 129,102 字 · 256 页
和の密使
などと、見て来たようにいう者には、何も実際は分っていないのであった。
けれど、何となく、和戦両様の空気が城将間にあることを感じると、
「和とは何だ、この期になっても、まだ和を考える余地がどこにある。腰抜けめ」
一般の激昂はいやが上にも燃え募った。忿懣のうえに重なった忿懣である。それもこんどは誰へ向けていいやら分らない怒りだ。天へ向って哭くしかないものであった。
そうした家中の人々は、ふと、自分たちのまわりに、端なくも一つの不審を見つけ出した。何かというに、それは例の片目、足なえですぐ目につく斎藤下野の姿が、近頃とんと見当らないことであった。
和の密使
「下野殿には、どこへ行かれたのか?」
と、斎藤下野の家人に訊いても、口をつぐんで一切知らないというし、日頃、親しい友人にたずねても、
「一向に存ぜぬが」
と、共に不審がるばかりであった。
邸を窺うと、病気で寝ているふうもない、召使は厳重に口止めされているらしい。こうなるとなお知りたいのが当然な心理である。
「わかった!」
ひとりが、衆へ伝えた。
もう秋ぐち、つい二、三日前から八月だった。旗本辛崎図書之助が、同じ組の血気な中堅ばかりの寄っている城中の用部屋へ来て、