轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
うえすぎけんしん
上杉謙信
吉川 英治
「週刊朝日」1942(昭和17)年1月4日号~5月24日号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 129,102 字 · 256 页
――だからたとえ鬼小島弥太郎のような習性でも、しばらくその中に棲息をゆるされ、また一人前になるまでは、
「困り者」
の代名詞となるほどでも、朋友から上役まで、
「いつか、何かのときには、お役に立とう」
と、その短を扶け合っていてくれるという風だったのである。
しかし、鬼小島弥太郎の場合だけは、そういう周囲もすこし愛想を尽かし気味であった。妻を持たせても、どうしてみても、大酒がやまない。
のみならず、しばしば謙信の明示している士道の訓誡も踏み外してしまう。
ひどい事があった。
冬。あの越後らしい大雪の夜だった。
春日山城のお濠と、大手との道角に、この附近の二之木戸三之木戸などを守っている番士衆の溜りがあった。御番方屋敷と町の者はよんでいる。そこの雪と雪のあいだから灯りが洩れていた。
「おいっ、開けろ開けろ」
と、たれかそこを烈しく叩いている者がある。
中では、非番が十人以上、車座になって飲んでいた。一升持寄りというような事をよくやるそんな晩らしいのである。
「開けるな。鬼小島の声だ」
「あれに舞い込まれては堪るものではない。みんな飲まれてしまうだろう」
「ひどい雪風の音だ。