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けんきょうじゅなん

剣侠受難

国枝 史郎

「東京日日新聞」1926(大正15)年5月28日~11月14日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 195,479 字 · 394 页

青空文庫

お京だけは出席しない。それは疲れているからで、隣りの部屋へ寝かして置いた。イスラエル教とはどんな宗教か? この問題で花が咲いた。

「キリシタンでござろう。それに相違ない」例によって金弥出しゃばったものだ。

「しかしキリシタンはキリシタン。イスラエル教はイスラエル教、おのずから差別があるようでござる。もっともだいぶ似たようではあるが」これが広太郎の意見であった。

「いやキリシタンに相違ござらぬ」バカのくせに金弥がんばろうとする。

「拙者そのうち調べてみましょう」舞二郎穏やかにこういったので、話がほかの方へ移って行った。

「なんに致しても広太郎殿には、ひとかたならぬご恩になり、なんと申してよろしいやら、お礼の言葉もございません。お京にとっては命の恩人、また私にとりましてもな」平左衛門改めてお礼をいった。いい尽くせないというようである。

「いや今回の事件では、私にも責任がございましたので。それに成功しましたのも、ほんの偶然でございましてな。飄々と現われる傀儡師が、いわば手引きをしたようなもので」広太郎、ちっとも威張らない。

金弥そこでまた出しゃばる。「拙者も随分苦心しました。