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けんきょうじゅなん
剣侠受難
国枝 史郎
「東京日日新聞」1926(大正15)年5月28日~11月14日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 195,479 字 · 394 页
山の小父さん
「何者?」と叫んだは牧野兵庫。
「丸橋忠弥」と折り敷いた。槍の柄が血のりでぬれている。
「いくさの勝負? 敵は何者? 銅兵衛はどうした? 君尾はどうした?」頼宣卿たたみかけた。
山の小父さん
「残念!」と忠弥まず叫んだ。「島原の残党天草時行。こやつが敵にござります! 味方に裏切る者があって、伏せた地雷が役に立たず、そこを目がけて裏手より、敵ムラムラと乱入し、一挙に本陣武器蔵をつき、銅兵衛殿には鉄砲にあたり……」
「おっ!」と頼宣こぶしを振った。「ううむ銅兵衛やられたか!」
「気息奄々、断末魔!」
「姫はどうした、君尾はどうした※(感嘆符疑問符、1-8-78)」
「文三と申す裏切り者、もったいなくもかどわかし!」
「残念!」と頼宣、おどり上がった。
「ただし袴広太郎という義士、追っかけてゆきましたと申すこと」
「銅兵衛に逢いたい! のしくだせ! 槍をもて! さあ続け!」
「殿!」と兵庫、さえぎった。「千金の御身、かかる場合に!」
「だまれ!」と槍をひっ抱え、「京姫! 京姫! そちもつづけ! 修羅の戦場! 一度は見ておけ!」
サ――ッと盆地を駈け下りた。
後追っかけた五十人、頼宣卿を真ん中に、火焔をくぐって突き進む。