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けんきょうじゅなん

剣侠受難

国枝 史郎

「東京日日新聞」1926(大正15)年5月28日~11月14日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 195,479 字 · 394 页

青空文庫

そこであねごの隠れ家だが、やっぱりそうだ天が下、人ある所にあるらしい」ここで意地悪く笑ったが、「ただしちょっくら匂わしておく。あねごは一人じゃないんだぜ。そんな不経済をするものか。相手があるのだ、共住みのな。年が若くて、男がよく、金持ちのせがれでわざが出来、身分はもちろんさむらいさ。なんでも人の噂では、四畳半では広すぎるそうだ。三畳に限るっていうことだ。が、おめえにア這個の消息、なんのことだかわかるめえ。そこでクドイが説明する。いつも二人がピッタリと、くッついているんだから三畳でいい。四畳半ではすきが出来、風がはいって寒いとよ。熱い熱い熱い仲だあ! それによ」と忠三いよいよアクドク、「その果報の色ざむらい、お前には縁のある奴だ。縁も縁、敵だあね。とこういっても思いつくめえ。いつぞやおめえをからめ取り、正雪一味に手渡した、旗本袴広太郎、こいつだこいつだ、このさむれえだア! ふふん」と鼻でせせら笑った。「変ったね、顔色がよ。こいつア変るが当然だ! さアてそこでだ。ご両人、どの辺に住んでおいでかね。江戸界隈にいるとすりゃあ、どうでも小梅の里あたり、小ぢんまりとした寮構え、是非とも萩の柴折戸だ。