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けんきょうじゅなん

剣侠受難

国枝 史郎

「東京日日新聞」1926(大正15)年5月28日~11月14日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 195,479 字 · 394 页

青空文庫

ザビエルの財産

こういうところから信綱をよこし、原の城を攻めてはいるのだが、そのうち引きあげるに相違ない。そうして事をうやむやに葬り、キリシタン宗徒を放任し、教義布衍を許すだろう。その証拠には家康公から、たいへんなお墨付きがきているじゃアないか! 二本の巻軸! 二本の巻軸――というのが原の城に籠っていた、信徒一味の考えだったのさ。実際……」というと天草時行、改めてひろげられた巻軸へ、例の気味の悪い小粒の眼を、焼きつけるように注いだが、「二本の巻軸は徳川家康からキリシタン教徒に手渡した、ある意味におけるお墨付きなのだよ。ひとつこれについて話してやろう」

ザビエルの財産

キリシタン宗徒の連中へ、徳川家康がお墨付きを渡した! これはまことに意外なことで、充分驚いてもよさそうである。その秘密を知っていて、天草時行が話そうという。興味を起こさざるを得ないではないか。座にい並んだ十数人の武士ども、そこでちょっとばかり居住まいを直し、固唾を呑むような格好をした。

と、天草こんなことをいった。

「これこれ神浦、聞きたいことがある。日本へキリシタンが渡ったのは、いったいいつ頃と思うかな?」