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けんきょうじゅなん

剣侠受難

国枝 史郎

「東京日日新聞」1926(大正15)年5月28日~11月14日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 195,479 字 · 394 页

青空文庫

そこでおこって地べたへすわり、何をいっても返辞さえしない。でこうなっちゃア仕方がねえ、わっちが懸命に探しやしょう。けだものが骨を折ったんだ。そこで人間が働くってものだ。なんのちっとも不思議なものか」訳のわからないことをいい出した。「ヤイ、でくの棒、手めえ達も悪い」突然うしろを振り返った。

後を慕って追って来た、忠三一味のこぶん達が、数間のうしろにたむろしている。お町の機嫌が面白くなく、忠三がお辞儀ばかりしているので、近寄りかねているのである。

「な、いいか、こんな場合にはな、一緒になってあやまるか、一緒になって探すものだ。それを一番楽な方をとって、棒杭のように突ッ立っていやがる! 『おれは三番目の人間だよ』などというような面をして、そばに立って見ているのは、間違いはないが卑怯だぜ! 勇気があったら渦中へ投じろ! が待ってくれ、そうはいっても、むやみと雑兵に荒らされても、探索の手口が狂ってしまう。……ええと、ここは渋沢の墓地、うしろは蓮華寺、あれた墓地! 墓地へ隠れはしないかな? 左は沼地、右は田畝、そっちへトッ走りはしないかな? おれの身体が三つあるなら、三方へ走ってゆくのだが、お生憎様、一つしかねえ。