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けんきょうじゅなん

剣侠受難

国枝 史郎

「東京日日新聞」1926(大正15)年5月28日~11月14日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 195,479 字 · 394 页

青空文庫

朱舜水、光圀、それから君尾、この三人を主人公とし、他に十人の武士をまじえた、すなわち十三人の団体で、いずれも目立たない旅よそおい、編笠を深くかぶっている。

「征東大将軍宗良親王、信濃におわしたので信濃宮、そのお方のご遺跡をはじめとし、南朝方の諸将の遺跡が、随分信濃にはあるようでござる。是非ともこれは調べなければならない。楽しみでござるよ。今度の旅行は」こう言ったのは朱舜水。

「傾城塚には驚きました。まさか邪教の淫祠とは、夢にも想像しませんでしたので、どうぞして今度の旅行には、ああいうものにぶつからないように」こういったのは水戸光圀。

「信濃の秋が見られます。美しいことでございましょう。それこそ妾は山の鳥のように、思うさま歌うつもりでございます」これは君尾の言葉である。

信濃の史実を集めようと、発掘旅行に行くのらしい。

ところでこれと同じ日に、例の浅草の南蛮屋からも、二人の旅人が発足した。虚無僧姿のイスラエルのお町と、道中師風の早引忠三で、こんな話を取りかわしている。

「で、テッキリ信州路へ、入り込んだということになるんでさあ」例の調子で早引の忠三。

「もしもそっちにいなかろうものなら、お前そのままでは置かないよ」