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けんきょうじゅなん
剣侠受難
国枝 史郎
「東京日日新聞」1926(大正15)年5月28日~11月14日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 195,479 字 · 394 页
「なにさそれとてコソコソでな、たいした仕事はいたしません。せいぜい干し物をふんだくったり、家畜や野菜を荒らしたり、時には子供や娘などをさらうようなこともありますが、そんなことはメッタにありませんなあ」
「とまれ厄介な人間どもで」
「それもさ特別カワトに限って、厄介な人間でもございませんて。どの方面の人間だって、たいがい厄介でございますよ。いやかえってカワトのようなものこそ、厄介でない人間かも知れませんなあ。気の向いたところでくらしをする、厭になったら引きあげる。気の向いたところでまたくらす、厭になったら引きあげる。水草を追って行きますので。きたないみなり、粗末な食べ物。自分達同士で婚礼をする。他人を仲間へも入れなければ、他人の中へもはいって行かない。物欲が少なくて単純で、見得や外聞を気にかけず、義理もしなければ義理も受けない。物にこだわらずに身体が強い。大変結構じゃアございませんかな。でわしとしては大好きで、はいさようで、カワトがね。といって大事な女子供を、引っさらわれては困りますので、今も仲間に申して置きました。『野菜や家畜を荒らすようなら、構わないから荒らさせて置け。