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けんきょうじゅなん
剣侠受難
国枝 史郎
「東京日日新聞」1926(大正15)年5月28日~11月14日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 195,479 字 · 394 页
と、武士の面上に、憎悪の情が浮かんだが、すぐに佞柔の表情に返った。
「いいかげんになされ、袴氏。とぼけるのにもほどがござる。よしまたどのようにトボけられても、食わせられるような拙者でもない。お芝居をするも善し悪しでござるよ」
「芝居もしなければトボけもしない。拙者真面目にきいているので」
「ふふん」と武士はせせら笑った。
「あくまでもシラをきられる気かな」
「知らぬものは知りませんな」
「それで拙者を追っ払う気かな」
「当方でお招きしたのではない。ご用が済まば帰られるがよろしい」
広太郎も少し気色ばむ。
「さようか、なるほど。そう出られたか」
築土新吾、スッと立った。がまたすぐにピッタリと坐り、探るような声でつぶやいた。
「ご不満かな、山分けでは? よろしい、それでは、四分六といたそう」
「くどい!」と広太郎、腹に据えかね、はじめて叱を響かせた。「何をいわれる、無礼千万! 拙者も武士、嘘はいわぬ! 獲物の山分けの四分六のと、町人じみた不快な掛け合い。知らぬといったらあくまでも知らぬ。すぐに帰られい! 帰らっせえ!」
「よろしい!」
と新吾、わしのように、その眼光をひらめかせたが、