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けんきょうじゅなん
剣侠受難
国枝 史郎
「東京日日新聞」1926(大正15)年5月28日~11月14日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 195,479 字 · 394 页
真の目的
平左衛門と舞二郎、成長した陰間の金弥まで、声もなく奥の間に坐っていたが、
「広太郎殿、よい知恵を」
いつも沈着の平左衛門が、まずオロオロといったものである。
「お聞かせくだされ、どういう事情?」
「こうでござる」と舞二郎、沈痛の口調で語りだした。
真の目的
「実は人攫い事件以来、お京、憂鬱になりましてな、ものさえろくろく申しません。恐ろしい災難にあった者が、時々落ち入る憂鬱性、まずそれだろうとは存じましたが、うっちゃって置いては、病気にもなろうと、努めて心を引き立てるように、いろいろ注意を加えましたが、どうも一向きき目がない。そこで本日無理に勧め、小間使いお常に供をさせ、浅草へ遊びにやりましてござる。夕方になっても帰ってこない。どうした事かと案じていると、お常一人がひともし頃に、泣き込んできたではございませんか。どうしたときくとお嬢様が、人さらいにさらわれたとこう申すので。どこでさらわれた、どうして攫われた、さらった武士はどんな人相かと、拙者たたみかけてききますと、場所は浅草の河喜という料亭。さらった武士は四十格好の、あごひげの濃い、眉の太い、立派なよそおいをしたさむらいで、なんと不思議ではございませんか、このようにいったと申しますことで、『拙者は築土新吾といい、袴氏とは年来の懇意、先ほどよりして河喜の二階で、