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けんきょうじゅなん

剣侠受難

国枝 史郎

「東京日日新聞」1926(大正15)年5月28日~11月14日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 195,479 字 · 394 页

青空文庫

そこで君尾殿をカセにして、ご忠告なされるがよろしゅうござる。もし真実君尾殿が、紀州殿のご落胤であられたら、それを助けられた光殿は、とりも直さず紀州殿には恩人、喜んで紀州殿におかれては、光殿のご忠告を聞かれましょうよ。……がしかしこれとても、機会を待たなければなりませんなあ。……それはそれとして湛慶滝へは、まだ道のりがありましょうかな?」

すると案内の山賤が、つつましくうしろから声をかけた。

「いえもう間近でございます。この道を真っ直ぐに参りますと、湛慶川の川岸で。それを上流へさかのぼりますと、湛慶滝でございます」

そこでズンズン進んで行く。

ややあって光圀が笑いながらいった。「先生、はたして湛慶滝に、南朝の遺跡がございましょうか?」

「さあそいつはわかりませんなあ」一向こだわらずに朱舜水がいう。「とまれ村人やきこりたちや、そういう人達の噂によると、湛慶滝には色々の、伝説があるようでございますな。古いところでは仏師湛慶。新しいところでは紅毛人。そうして綺麗なおちごさんの噂。そこで私は思いましたので。すべてそういう伝説的の土地には、何かしら遺跡や旧跡が、必ず残っておりますとな。