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けんきょうじゅなん
剣侠受難
国枝 史郎
「東京日日新聞」1926(大正15)年5月28日~11月14日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 195,479 字 · 394 页
恋の墓
「それにしてもイマニエル司僧様は、立派な豪僧でございましたよ」忠三の声には感激がある。
「あの二本の巻軸の秘密も、どうやら解けたようでございますね」
「みんなお祖父様の細工でしたのね」
「それも悪気からではございませんでした。布教のおため! でございました」
「そうしてお祖父様はその『ため』に、心を食われてしまいました」
「ご熱心からでございます」
「そうして背信者になったのね」
「人間性があり過ぎましたからで」
「あのむごたらしい懺悔生活も。……」
「人間性があり過ぎましたからで」
山々がだんだん高くなる。次第に二人は下って行く。
「お町様!」と不意に忠三がいった。「これからあなたはどうなされます」
「これをね」とお町は胸をさした。「埋ずめに行きますの、ご遺言通り!」
メダルと並んで小さな箱が、お町の胸へかけられてある。
恋の墓
メダルと並んで小さな箱が、お町の胸へかけられてある。
何がはいっているのだろう?
「ああお髪でございましたね」
こういったのは忠三である。
「お祖父様のね。……唯一の形見」お町の声は泣いているようだ。
「そうしてご遺言とおっしゃるのは?」
「『お前のお母様のメダルと一緒に、故国の土へうずめるように』