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けんきょうじゅなん

剣侠受難

国枝 史郎

「東京日日新聞」1926(大正15)年5月28日~11月14日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 195,479 字 · 394 页

青空文庫

これは素的。女であろう、変装した女」

「まあさ、拙者にも見せたり見せたり。ウフッ、まさしく両性だな」

金弥ガタガタふるえ出した。「無礼でござろう、無礼でござろう!」

「しゃれた事を申せ! 変性男子! それ方々、この化け物の、腰の物を抜いてみようではないか」

「それがよろしい。なまくら拝見」一人が金弥の刀を抜いた。

「感心感心、さびてはいない。しかし曲げると曲がるやつだ」

ガランと往来へ投げ出してしまった。

「後学のため見て置かっしゃい!」最上の浪人と呼ばれる武士、自分の大刀をギラリと抜いた。

「わかるかな、粟田口藤四郎!」

すると続いて七軒町という武士、同じくギラリと引き抜いた。

「来国光で、切れるぞよ!」

続いて三人が引き抜いた。

「大青江だ! よっく見ろ!」

「すなわち鳥飼国俊だ!」

「驚いてはいけない、松倉郷!」

真物かにせ物か知らないが、名に聞こえた五本の刀、ズラリと並んだものである。

「もうよかろう」といったのは、お茶の水という武士であった。「さあさあ帰れ。今後は来るなよ」

トンと金弥を突き出した。

あとには客は一人もいない。みんな逃げ去ってしまったらしい。