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けんきょうじゅなん

剣侠受難

国枝 史郎

「東京日日新聞」1926(大正15)年5月28日~11月14日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 195,479 字 · 394 页

青空文庫

「ああ真っ先にいって置こう。お前のような男じゃあないよ」

「ご丁寧でげす。さてそれから?」

「色の浅黒い好男子さ」

「アレ、おいらに似ているぜ」

「武道の方も達人でね」

「中条流の早縄はえ?」

「金持ちでなけりゃ嫌いだよ」

「あッ、こいつだけがはずれている」

「三拍子そろった若い男さ」

「飲む打つ買うの三拍子なら、めったにヒケは取らねえが」

「さあそいつだってあぶねえものさ、飲むときまって管を巻くし、打つと勝って来たためしはなし、買うとむやみに振られるしさ」

「ワーッ、あねご、コキおろしましたねえ」

「冗談おいいな。正直なところさ」お町グルリと腹ばいになった。薄物を透して二本の足が、かかとからスンナリと伸びている。ワングリした腰つき短い胴、たくましくはあるがととのった肩、日本人放れのした体格である。伸ばした腕に袖がまくれ、二の腕がムッチリとあらわれている。

見ないような様子はしているが、忠三こっそり眼を使い、はだけて見える乳の辺へ、いやな笑いを送っている。二つの乳房に押し伏せられ、もがき廻っているスペイン猫が、どうやら忠三には羨ましいらしい。

「おいらも猫になりてえなあ」