轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
ことうのおに
孤島の鬼
江戸川 乱歩
「朝日」博文館、1929(昭和4)年1月号~1930(昭和5)年2月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 181,795 字 · 359 页
その六が、何の為だか庭をこんなにしてしまった。気違いのことだから、叱る訳にも行かぬのでね」と答えた。私にはそれが、出まかせの苦しい言訳だとしか思えなんだ。
その夜は、同じ座敷に床を取って貰って、私達は枕を並べて寝についた。でも、二人とも昂奮の為に仲々眠れない。と云って迂闊な話も出来ぬので、まじまじと押黙っていたが、静かな夜に心がすんで行くにつれて、寝静まった広い屋敷のどこかで、細々と異様な人声が、切れては続いているのが、聞えて来た。
「ウウウウウウ」
と細くて甲高い唸り声だ。誰かが悪夢にうなされているのかとも思ったが、それにしてはいつまでも続いているのが変である。
ボンヤリした行燈の光で、諸戸と目を見交しながら、じっと耳をすましている内に、私はふと例の、土蔵の中にいるというあわれな双生児のことを思出した。そして、若しやあの声は、一つ身体に連り合った男女の、世にも無残な闘争を語るものではないかと、思わずゾッと身をすくめた。
あけ方にウトウトとして、ふと目を醒すと、隣の床に諸戸の姿が見えぬので、私は寝過したかと慌てて飛び起きて、洗面所を尋ねる為に廊下の方へ出て行った。