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しきぶこうじ

式部小路

泉 鏡花

「大阪毎日新聞」1906(明治39)年1月1日~1月27日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 74,847 字 · 149 页

青空文庫

二十四

「で、お嬢さんはどうしておいでなすったんで?」

「あれ、芥溜をまた聞くよ。そんな事はあとにして、疾く困ってくれないと、暗くなる、寒くなる、さあ、こっちへおいで、さあ、」

足許から美しい鳥の立つよう、すらりと身を起す、その片手に手巾を持っていたのを、無意識に引くと、放れぬこそ道理なれ。片端膝にかかったのを、愛吉は我れ知らずつかんでいたので。

向うへ一所に立とうとすると、足がふらふらとして尻餅の他愛なさ。畳まれたようにぐたりとなる。お夏は知らずに出ようとする。手の手巾を愛吉が一心になって掴んだ、拳が凝って指がほぐれず。はッと腰を擡げると、膝がぶつかって蛸の脚、ひょろひょろと縺れて、ずしん、また腰を抜く。おもみに曳かれて、お夏も蹌踉く。もつるる裳。揺めく手巾。

「おや、」

と思わず熟と見られた、愛吉のその顔は……

二十四

「お前しびれを切らしたね。ほほほ、」

「むむ、」

気を入れると直ぐに、よたり。

「馬鹿だね。」

「これは!」と片手を畳へ。しっかりと支くと、直ぐにお夏がその手巾で引かれるから、これはとあせるほどなお放れず。

「だらしのない為朝だよ。」

「勢い! 和朝に、」