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しん・すいこでん
新・水滸伝
吉川 英治
「日本」講談社、1958(昭和33)年1月号~1961(昭和36)年12月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 684,899 字 · 1374 页
見料は金一両だなんて、とんでもない法螺を吹いてますぜ」
「まあいい。ものは試し。連れて来い、連れて来い」
まもなく、あたふたと、戻って来た番頭が。
「大旦那。八卦見をよんで参りました」
すぐうしろから、つづいて入って来た呉用も李逵を後えに、一礼して。
「お招きは、こちら様でございますかな」
「おうわたくしです。ひとつ、わたしの運勢を占ってもらおうと思いましてね」
盧俊儀は言った。――じろッと、呉用のひとみ、盧の眼光。何か、どっちもどっち。言外に、人を観ている。
が、盧はさりげなく、
「ここはみせさき。先生、どうぞこちらへ」
と、一方の簾を排して、客間の鵝項椅(鵝鳥の首の付いた椅子)へ呉用を請じ、そして、いんぎんに訊ね出した。
「ご旅装と拝しますが、先生、ご郷里はどちらですか」
「山東です。姓は張、名は用。談天口とも号していますが売卜は本業ではありません。郷里では儒の寺小屋をひらいており、たまたま、遊歴の旅費かせぎに、好きな筮卜をとって、特にお望みの方だけに見て上げておるような次第でして」
「そうですか。さすがどこか、街の売卜者などとは、どこかご風采も異なるものがあると思いました。