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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
05 一九三八年(昭和十三年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 229,387 字 · 453 页
「ああ。でもそれは馬琴のつまじゃない。息子の嫁さんだよ」「ふーん」豆の小さい包みを下げて靴音たかく帰ってゆきました。健造は九歳か。十かしら。少年の面白さたっぷりです。何て男の子は面白いだろう。太郎はどんな子になるだろう。自分の子に男の子を考えると何だか笑えてくることがある。あなたにこの興味がおわかりになる? 自分たちの子というものを。健造が、妻ということばを云うときその響は大層清冽でありました。無色透明で。智恵子さんのところへ行くそうです。
さてつづき、良人であった人は芸術家の生活というものの急所がわからず、勉強な女大学生(受動的な)のように考えていたらしくて、この次この本よめ、この次これ、そう云われても作家になっている人なんだから、よかれあしかれ内面の必然があって、ハイハイよめないときもあり、そういうのが、女って結局しかたがないものだ、という結論を引出すことになったらしい。八九年の後、この春離婚して、そして、この作品をまとめた。フランスの婦人作家列伝ていうのを見たら、すこしましな仕事している人って皆、普通の意味での結婚生活やっていないって書いてあったんで、何だか元気がついちゃったようで、と遠慮深く云っていました。