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ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

05 一九三八年(昭和十三年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 229,387 字 · 453 页

青空文庫

いい心持に堪能して。子供らをたべさせたりするのは実にいい気保養です。これからたまにやることにきめた。

きのうは、雨であったが一仕事してから慶応病院へ古田中という母の従妹に当る夫人の見舞いに出かけ、途中三越へまわって貴方御注文の羽織紐を買おうとしたら28日でやすみ。8の日はああいうところは休日です。近所の店で買いました 春らしい色をしている、胸の前に一寸下げて下さい。私もふだんのを一つ買った。赤い縞のついているの。

きょうはこれからずーっとやって、午後は栄さんのところで例のノエ式をかけて貰おうかなど考えて居ります。背中がつかれているから。まるでトンネル掘りの土工が、そらもう一シャベルとはり合をつけてやるように、せっせせっせとかかっているので、頭より背中がくたびれる。しかし生活が与える新しい経験というようなものは実に面白い。

冨美ちゃんの試験は26,7日で終ったわけですがどうだったろうかしら。体が腺病質なので。東京の小学校では、体によって肝油をやっています(金を払ってですが)。あっちではそういうことはしない。三十日すぎたらきいてあげて見ましょう。

新協で朝鮮の伝説春香伝をやっている。