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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
05 一九三八年(昭和十三年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 229,387 字 · 453 页
ました。細長い台を二つタテに並べたところへ、高女四、高等二年六年三年三年と並んで、賑やかに食べること、食べること。私は前掛をかけて首をまげて見物していて、「一寸ゆっくり、沢山たべなけりゃだめだよ」とか「お腹ギューギューならバンドおゆるめ」とか云っている。「もうさっきゆるめちゃいました」健造は総代だったって。新しい服がすこし大きいので首が細く見えるのもいかにも進級風景です。健造新らしい服のせいか膝にハンカチをひろげて食べている。別に何とも私は云わなかったが、この子の性質が出ている。ハンケチなんかかけないでいいし、思いつきもしない方がいい。年よりがいるとちがうのかしらなどと思って眺めました。女の子二人はもう大きくもあるのだが、男の児等とちがっている。稲ちゃんも私も女びいきのくせに男の児の方がすきで、面白い。男の児みたいに面白い女の児がざらにいるようにならなければ嘘だと沁々思います。男の児はどれも、どんぐりでも、何かくっきりした輪廓をもっている。粒々がある。だから面白い。女の児は女の児という一般性の中に流れこんでいて。
夜、又あとから寿江子、さち子来てたべて、総計十五六人が出入りして、私はすっかりくたびれました。