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ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

05 一九三八年(昭和十三年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 229,387 字 · 453 页

青空文庫

御二人は大安心ですし、何より結構です。十二日はその小学校の校庭で昼頃まで兵隊がいろいろやるのを見物し、連隊長の訓示というものも拝聴しました。それから分宿している箇人の家へ行って一休み。午後は六時頃までいろいろ不足の品を買いものして夕飯は軍曹殿と達ちゃんの食べるのを見物して、十一時三十五分で広島を立ち、こちらに二時ごろかえりつきました。お母さんは御自分の目で、軍装のととのった姿を御覧になったし、元気な様子を御覧になり仕度も兵としては相当手落ちなくととのえたので大分御安心でようございます。

きのうは、じっと寝たまま、多賀ちゃんといろいろ話し、野原の家のこと、こちらのことなど話し、こちらの方も二人の男がいなくなればどうしても多賀ちゃんにいて貰わねばならず、多賀ちゃんとしては富雄さんが出たらあとの暮しをどうしようという心配がある。そこで、今は又養鶏がよくなっているから(支那卵が入らぬ)鶏を五十なり百なり飼い、やがてあすこへ何か出来たら人をおいてそれであちらの暮しは自転してゆくようにし、多賀ちゃんはとにかくどちらかが還る迄ここで手伝って貰うこととし、その代り今十円の給料を十五円にして、十円野原へやるとしても五円のうちは自分のものとしてためられるよう、それは私が当分持って出すことにきめました。