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ひきょうのにちりんき

秘境の日輪旗

蘭 郁二郎

「秘境の日輪旗」少年文庫、新正堂、1942(昭和17)年9月25日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 84,829 字 · 169 页

青空文庫

不安な一夜

流れついた岸辺の、ジャングルの中に天幕を張ると、枯枝を集めて、まず火を焚いた。――投槍を使った以上、人間には相違なかった。火を焚くことは、敵に居所を知らせてやるようなものである。だが一方では、獲物をあさっている飢えた猛獣を防がねばならなかった。

謙一が、外を見張ることにして、英夫は、クラパの傷の手当を引受け、祥子は食事を支度した。

「ダイヤの一族です、畜生! やつらは世の中の変ったことを何にも知らないでいるのだ」

クラパは歯ぎしりをしてくやしがった。かなりの深傷だが、クラパはじっとしていなかった。むりやりに天幕の中に寝かすと、ようやく観念したものか、眠ったようにじっとしていた。

「酋長のいっていた、ダイヤ族だとすると、いつ襲って来るかわかりませんね」

「なあに、やつらは槍ぐらいなもので武器を持たないから、大した心配もいらないさ」

謙一はこともなげにいって、ごろりと焚火の側に横たわった。

「お前たちは、ぐっすり眠っておくがいい、兄さんが万事引受けたから」

「いや、僕、兄さんの眠る間代っていますよ」

「じゃあ、あたしと英夫さんが先におきていますから、お兄さんが、すこし休まれるといいわ」