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ひきょうのにちりんき
秘境の日輪旗
蘭 郁二郎
「秘境の日輪旗」少年文庫、新正堂、1942(昭和17)年9月25日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 84,829 字 · 169 页
どうすればいいか、英夫にもわからなかった――。
この船艙の中には、弾薬も積んであるはずである。時計爆弾の爆発でそれに引火すれば船は一瞬の間に粉微塵になってしまうのだ。
今のうちに爆弾の自働装置を壊してしまうか、船の外へ捨ててしまうかしなければならないのだが、船艙の中に閉じこめられてしまった今は、宮崎運転士が引っかえして来るのを、じっと待つよりほかはなかった。
しかも正確に十二時間とか、二十四時間の間に爆発するとはかぎらない。それは英夫の想像だけで、いつ爆発するかわからなかった。
宮崎運転士は賄部屋の扉の方から入って来るといっていたが、今はそこが一ばん危険な場所になっていた。爆発しても直接打撃をうけないような、すこしでも安全な場所を探すことが一ばん賢い方法のように思われた。
英夫は祥子をせきたてて階段を下りた。
ちょうど、最後の段から床へ下り立った時、思いがけなく、入口の扉の開く音が聞えた。
「あっ! 誰か来たわ」
祥子が眸をかがやかして叫んだ。
入口の扉が開きさえすれば、船長に話して応急処置をとってもらうことも出来、危険な爆弾を船の外へ捨ててしまうことも出来るのだ――。