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ひきょうのにちりんき

秘境の日輪旗

蘭 郁二郎

「秘境の日輪旗」少年文庫、新正堂、1942(昭和17)年9月25日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 84,829 字 · 169 页

青空文庫

二人は、救われたようにほっとして、扉の方へ駈け寄った。

「やい!」

扉の閉まる重々しい音と、それはほとんど同時だった。

「どこへ行く!」

意外にも、扉をうしろに、仁王立になっているのは、二人の支那人だった。

趙は二人の様子に勘づいたらしく、脂ぎった顔に埋もれた、けわしい眼が祥子から英夫に移ると、

「おやっ、こいつ! なんだか気に入らねえ餓鬼だと思っていたら、とんでもねえことをしやがる、俺たちの秘密を嗅ぎつけたからにゃあ、もう生かしておくこたあ出来ねえ……」

趙は相手に目くばせすると、にやりと笑った。

「手前、トランクを見つけやがったな、尤も中味はお生憎さまだろうがね」

「時計爆弾だろう。あんなものぐらいすぐわかるさ、わからないのは、大悪党のくせに思いきり悪く、いつまでも船の中にぐずぐずしていることだよ」

英夫の頭に咄嗟に閃いたのは、もう爆発に間もないと思われるこの時間に、二人がのこのことやって来るのには何かわけがありそうに思われること――だった。

「お誂えむきのところで、どかんとやろうと思って手数をかけてるのさ、だがお前たちがちょっかいを出しはじめたから、もう容赦はしねえ、一時間と経たぬうちにこの船諸とも木葉微塵にしてやるから、ゆっくり見物してるがいい……おい王、この餓鬼どもをふん縛って急いで仕事にとりかかろうぜ